FGO第二部 Lostbelt No.3 プレイ日記11 祈りも願いもなく



中国異聞帯の在り方や考え方は、もちろんロシアとも北欧とも汎人類史とも異なっていた。
ある意味で安定して、完成している。
だからこそ進むことすらできずに剪定されたわけだけれど、これはこれで『ひとつの正義』、『ひとつの世界』として、とても興味深いものでもあった。

そういったものに真正面から取り組むのは、正直エネルギーが必要なことだ。
けれど、覚悟していたよりも、ずっと気持ちのいい形でぶつかりあう事ができた。

中国異聞帯における冒険では恐怖を覚えることも、悲しみに落ち込むことも、おぞましさに背筋が震えることもあったけれど……熱くて面白くて、最後には少し優しい話だったと思った。



関連記事

FGO第二部 Lostbelt No.2 プレイ日記01 彷徨海を目指して
FGO 序/2017年12年31日 プレイ日記01 はじまりのおわり



※本記事ではサーヴァントの真名を表記しています





月の下で語る






第三章におけるモードレッドは、“スパルタクスの理解者”としての面を描かれていることが多かった。
叛逆三銃士だから……というより、アポクリファで馴染みがあるから、だろうか?

理解しているというよりは、程よい距離感を知っていると言った方が良いのかもしれない。
バーサーカーの言葉や思考は理解できないものだ、と他ならぬモーさん自身も言っていたし。
だが、そんな彼ら二人が交わす言葉は、狂気や叛逆といった熱いものからは少し距離を置いた『落ち着き』みたいなものを感じる気がする。
ちょっと意外で、なんとなく良い。友人というほど親しくはないだろうが、認め合った戦友のような空気がある。


そしてそんなモーさん相手に、スパルタクスが口にしたこの一言。
これが今後の展開に、ググッと効いてくる。

……本当に、スパルタクスはよく見えている。
見るべきもの、理解すべきことはきちんとわかっている。
そんな第三章のスパルタクスは、やはり最初から最後まで、ずっと格好良い最高の英雄だった。









一方こちらでは、主人公とマシュもまた、静かに語らっていた。
平和で穏やかで、安定した空気なのに、マシュは不安げな表情をしている。

他の世界を壊すことに、迷いと苦しみを抱き続けている主人公たち。
マシュが思い出したのは、以前に見せられた幻。そして目の前にある中国異聞帯の現在。

この迷いから抜け出すことはできるのだろうか?
できないような気がする。割り切ってしまう方が危険なようにも思う。
しかし、悩み続けるマシュや主人公を眺めるのは、心苦しい……。





芥ヒナコの理由




安穏とした空気を破壊した、セイバー・蘭陵王。
どうも主人公の暗殺を狙っていた様子だが、先にマシュに気付かれてしまった。

本人も苦手を自覚しているようだが、非人道的なやり方が似合わない男だ。
休戦の約束を破ったうえで闇討ち、なんてことは、彼のクラスにしても性格にしても、決して巧くは行かないだろう。
それでも無理に事を起そうとするとは、蘭陵王……いや、マスターである芥ヒナコは、“焦り過ぎ”にも程があるのでは?









???サポートを選ぶと、正体は秦良玉だった。
一時的とはいえ、こちら側についてくれるとは嬉しい。胸熱。しかしセイバー相手にランサークラスは困るんだなコレが。

また、気付いたことがひとつ。
秦良玉は特殊バフが乗っている代わりに、宝具が使用不可能な状態で固定されている。

彼女は英霊ではなく、あくまでも生身の凍眠英雄であることから、宝具が使えないのだろうか……とこの時点では納得していた。
しかし、その後の展開で、もうひとつ大きな理由があったことにも気が付いた。
彼女の宝具と、中国異聞帯の特徴を考えると……そりゃ、使えなくて当然だ。









決着は付かなかったが、始皇帝にバレてしまった。
ヒナコは多少の叱責や罰ならば真顔で受け入れるくらいのつもりだったろうが、“最も恐れること”を持ち出されて、初めてと言っていいほど激しい動揺を見せた。
汗を浮かべて謝罪の言葉を並べ、土下座以上のことすら行いかねないその姿は……むしろ、見ていて哀れでもあり、痛々しくもあり、どこか恐ろしくすらあった。

そして同時に、始皇帝への恐怖もプレイヤー目線で再燃していく。
最初は怖い相手、交渉が成ったあたりから興味深い相手……と上がりつつあった始皇帝への好感度が、上下するというよりは“恐怖”、“不安”といったもので揺らぎ始めたような気分、とでもいえるだろうか。


始皇帝が決して『良い人』ではないということはわかりきっていた。
けれど、意外と話がわかる性格だったり、言葉遣いに茶目っ気があったりすることで、少しずつ気を許しかけていた部分もあったのだと思う。
だが……やはり、そんなに簡単なことではない。単純な人ではない。
まだまだわからないことだらけだけど、やはり始皇帝は、怖い人だ。









陣幕に戻った後、ヒナコは外見上はそこまで気落ちしきっているわけでもなかった。
項羽の問いかけに答える形で明かされたのは、汎人類史における項羽の運命の一端。

そして、この異聞帯にヒナコが訪れた理由も、おそらく嘘偽りのない真意の元に明かされた。
なんとなく察していたことではある。が、この件については、まだ全て話されたとまではいえない。
どうして『そう』しようとしたのか、が、現時点では不明確なままだった。





祈りのない世界






始皇帝との仮の協力関係について、改めて仲間のサーヴァントたちとも話をする。
個人的な因縁のある荊軻さんや、叛逆したがるスパルタクスは立場としては反対寄り。最も余裕があるのはモードレッドだった。
アポとか第一部とか色々あって、モードレッドもすっかり大人になったよな。落ち着いてきた姿が嬉しいような、ちょっと寂しいような……。でもやっぱり嬉しいかな。

主人公と新所長の身体のことを考えて、最後には荊軻とスパルタクスも納得はしてくれた。
そのあたりの意思としては、カルデア側全体で定まっている。解毒が最優先、という基本姿勢は、最初から今まで変化はない。
それ故に縛られてしまっている部分もあるので、歯がゆい気分ではある。









場を移し、主人公・マシュ・荊軻だけに、ホームズは解析した『下賜』の詳細について説明をした。
『下賜』の効果からわかった、「平穏な世界の作り方」めいた始皇帝の意思……。
それが正しいのか否かは、難しい。反射的に拒否感を覚えてしまうし、歪で不気味だと思ってしまうけれど、否定できるだけの根拠や言葉も持てない。


そして、もうひとつ。
まだ憶測レベルかもしれないと前置きしたうえでホームズが語った、「異聞帯の霊脈で霊基グラフが作動しなかった理由」。







……昨晩のスパルタクスの呟きが、ここに来て繋がった。
英霊が存在しない、必要とされない世界。それは安全だから、安定しているから、凍眠英雄が存在するからというだけが理由ではないのだろう。

人々が祈らず、願わず、望みを抱かない。
なるほどそれは、平和に繋がることでもあるのかもしれない。祈りや願いは欲となって、争いを生み出して戦乱となるものだ。
そう考えれば、中国異聞帯の在り方を簡単に否定していいものでもないとも思う。

けれど……本当に、それで良いのか?
祈りも願いもない世界で、良いのか?
正しいのか、生き残るべきなのか、という問いは個人的には使い辛い。
だから、我ながら拙いのだけれど、「それで良いのか?」としか言いようがなかった。









もうひとつ、始皇帝側にも動きがあった。
前回はカルデアの人々とも朗らかに会話をしたり、蘭陵王の襲撃からも守ってくれた秦良玉。
その彼女の顔色が変わり、空気が変わった。

秦良玉からの連絡で、衛士長と韓信の表情も一変する。
とても嫌な予感がした。