FGOイベント レディ・ライネスの事件簿 プレイ日記11 虚ろな揺り籠




今回のイベントはボリュームだけならば、そこまで多くはなかったような印象もある。
それでも出番や活躍は各キャラにあって“足りない”感じはなかったし、全体的に品があっても軽くて読みやすくて、何よりも丁寧に物語が作られている点がとても良かった。
担当ライターである三田氏がFGOに初本格参戦ということで、特に気を使ってくれたのかもしれない。
他の仕事やライター間の業務分けなど色々とあるだろうけれど、出来ればまた、FGOのシナリオを手掛けてみてほしい。
事件簿コラボイベントは個人的に、かなり好きなシナリオだった。

 





※本記事では1.5部サーヴァントの真名を表記しています







川の異常











巷で噂になっていた、『変化していく川の様子』。
私は全然気付いていなかった。気付いた人はスゲーなぁ。

あと、少しずつさり気なく変質していくという“気持ち悪さ”もすごく良い演出だと思う。
バンバン貼り付けられていくメモに意識が向きがちなところを、見事に利用された気分だ。







織り上げた欠片











必要な小紙片も無事に集めきった。
その魔力でフェイク・ロンゴミニアドに干渉し、グレイが作り出したのは水晶の階段だ。
これを上って、黒幕の元へ向かおう!

ホロウアタラクシアを思い出す絵柄と構図だ。
意図して重ねているのだろうな。
ロックスターはいないが、ビッグベン☆ロンドンスターならいるぞ。ダメか? ダメか。















ライネス・グレイ・アストライアと共に、長い階段を上っていく。
不思議パワーで守られている階段かと思いきや、足を踏み外しただけでトマトケチャップ不可避な仕様らしい。高所恐怖症じゃなくても怖すぎる。

ここに来て、ようやくアストライアとも、味方としての普通の会話らしい会話ができた。
途中まではほぼ敵対していたので、ゆっくり話をする機会が今まではあまり無かった感覚もある。その点は残念だが、こうして少しでも機会を得られただけでも良かったかな。

アストライアの依代となった人間の質は遠坂に近いタイプだが、女神としての質や在り方としては、イシュタルよりもケツァルコアトルに近いような感じがする。
依代の人格&神としての傲慢さ・ジャイアン感がありつつも、『善き神』として信頼できる相手だ。
場面と状況さえ整えば、とても頼れる味方になる女神なんだろう。







造られた時間神殿











仲間たちと話をしている中、突然出てきた記憶の紙片。
今までのものとは違って真っ黒で、書いてある文字さえ読めない。明らかにヤベー奴。

逃げることもできず、紙片の展開する偽装記憶に飲み込まれていく。
歪んでいく景色の中、“レイシフト”の時と同じような演出が挟まった。
その先にあったのは……。















……やはり、時間神殿。
今まで紙片や小紙片を求める中で、順番はバラバラだったが、主人公は第一部やイベントのシナリオを多く回顧してきた。しかし第一部終章の記憶は、今まで見かけることはなかった。

主人公にとって何よりも重く、何よりも大切な記憶であると同時に、簡単に『記憶追想』できるほど軽いデータでも無かったからだろう。
現に、この時間神殿も完全な再現には至っていないようだった。















終章とは違い、現れるのは管制室バルバトスのみ。
『絞った』ことで、できるだけリソースを節約したんだろう。
その分を量に回して、物量でこちらを圧し潰そうというわけだ。
なるほど、やり方としては巧い。敵ながら納得!

更に言えば、「過去と未来を仲立ちする」バルバトスの性質も、再演には適切だったとライネスは説明してくれた。
この特異点はロンドンの第一部第四章の記憶を中心に作られていたし、ならば第四章で戦ったバルバトスが選ばれるのも当然だ。
……というより、実は順序が逆だったり? バルバトスありきで、ロンドンと第四章が主な舞台として選ばれた可能性もあるか?
バルバトス&終局特異点を引っ張り出す予定までは、最初は無かったかな……と思いきや、小紙片はそもそも、再現魔神柱の副産物だったらしいし。

まぁどっちにせよ、やることはひとつだ。
魔神柱は、折る!
バルバトスは、折りまくる!
あの狂気の年末を、こっちこそ再現してやろうじゃねーの!















……あれはひどい事件だった。
人類悪が顕現したのは、まさにあの時だったと言ってもいいだろう。
2016年の12月末。忘れもしない、22日から始まった死の宴。
鯖が重すぎて参加すらなかなか出来ず、寝落ちしているうちに死んだ柱もいた。
バルバトスは、まさにその筆頭だった……。















バルバトスは、当時初実装されたマーリンの育成素材を多くドロップしたこともあって、狙い撃ちされたっけ。
その記憶が強すぎて、『バルバトスは第四特異点にて、マキリと共に現れた魔神柱だった』という初登場の経緯を、失礼ながら私は完全に忘れてしまっていた。
そうか、バルバトスは第四特異点だったか……。
そして第四特異点の『M』は、Ⅱ世のダイイングメッセージには関係なかったが、今回のイベント自体に完全に無関係ってワケではなかったんだな。
うーん面白い。


……と、回想しているうちに、新たな人類悪・ライネスが、魔神柱の悪夢と恐怖を燻りだしてくれていた。
ヒデェよ……。人間のすることじゃないよ。
やはり俺たちのお師匠様は小悪魔、もとい悪魔だったんだな。知ってた。















そんなわけで、久々の『制圧戦』だ!
去年のアポコラボといい、GWはレイドバトルが定番になりかけている?
まぁ来年は違うかもしれないが。

実際の終局特異点では、魔神柱は様々なクラスを持っていたため、相手によってベストなアタッカーは異なっていた。絆値による攻撃力ボーナスもあった。
今回はバルバトスのみ顕現なので、敵はアサシンクラスに限定されている。
絆ボーナスはないが、イベントボーナスでグレイや孔明には特攻が載っている。
相性の良い特攻アタッカーという意味では、理想的なのは単体宝具のゴールデンかな?

バフさえ盛れば、特攻ではない術アタッカーでワンパンは可能だった。
星5でなくとも、たとえば昨年ハロウィン配布の護法少女酒呑でも余裕で勝利できる。
うめ、うめ。







地獄からの脱出











おかわりもあった魔神柱を平らげて、時間神殿の記憶から無事に脱出した。
ラスボス気分だったが、そういえば黒幕はまだ先だった。ちょっと拍子抜け。

そこからは邪魔されることなく、フェイク・ロンゴミニアドの内部に辿り着いた。
歯車や金属めいたもので覆われた、殺風景な光景。
なんだか妙な場所だ。こんな景色に見覚えはない。















魔神柱戦で消耗していたアストライアだけを狙った敵の攻撃!
アストライアだけが外部に弾き飛ばされ、フェイク・ロンゴミニアドは外殻を閉じてしまった。出入りもできず、必然、脱出することもできなくなったわけだ。

どうやら黒幕は、アストライアが最大の障害になることを読んで、彼女を強制的に排除する機会を狙い続けていたらしい。
魔神柱戦の再現も、彼女を弱らせることが目的のひとつだったようだ。
アストライアのどういった点が、なぜ“最大の障害”と認識されたのかは、今はまだわからないが……。







事件の黒幕











……姿を現した、『黒幕』。
以前に目にしたシルエットと同じだ。大人のダヴィンチちゃんによく似ているけれど、決して本人ではない。
姿を模しているだけ、といった感じらしい。己の姿を、黒幕は「一時的なカタチ」と呼んだ。

その名は、以前の解析で既に明らかにもなっている。
自律観測型存在証明システム、ムネーモシュネー。
名が発覚した時点では詳しくはわからなかった、その素性を、ムネーモシュネー自身が語っていく。
ムネーモシュネーは、「実装されなかった」システムだった。
職員が倒れてもマスターの存在証明を続けるためのサブシステムとして制作されながらも、技術的な問題で実装には至らなかったのだという。















ムネーモシュネーのクラスはライダー。
アサシンで攻めまくってみるが、謎の特殊バフのせいで、1ダメージも与えられない。
ズルじゃーん。反則だよ。
しかも宝具にあたるチャージ攻撃は、こちら側の強化をすべて剥がした上で全体攻撃するというえげつないやつ。
は……恥ずかしくないのか!?
そんなやり方、許されるもんじゃねぇよ! なぁ天草!?







最も古く、まばゆい記憶











戦闘は、6ターンほどで強制終了となった。
聖槍の形と記憶に融合したムネーモシュネーは、この場では最強に近く、倒し方さえもわからない。

ムネーモシュネーの狙いは、最初から主人公だけだった。
主人公に触れさせて……ムネーモシュネーは、己の記憶を主人公に見せて、語り始めた。

最も古いデータのひとつだという、あたたかな記憶。
主人公やプレイヤーにとっても、二度と目にできない、まばゆい景色。
……でもそれは、ムネーモシュネーにとっても、同じだったようにも見える。
ムネーモシュネー自身も『そう』考えていたからこそ、この記憶がキラキラしているのではないだろうか?















ムネーモシュネーは、己の機能を果たすことができなかった。
そこから生じた絶望は、『創造主の期待に応えられなかった』という無念にも近い。
その無念が、苦しみが、悲しみが、ムネーモシュネーにとっての全ての動機だったわけだ。

正直、その気持ちはよくわかる。
やり方はズレていても、ムネーモシュネーはダヴィンチちゃんの死を悼み、主人公の悲しみを思いやったからこそ、こういった手段に出た。
むしろ、『だからこそ』こんなやり方になった、といってもいい。
こういった言い方は正しくはないかもしれないが、ムネーモシュネーは創造主を失った悲しみが原因で、少し壊れてしまったのだろう。
機械としては正しくはない、人間臭い感情は、システムにとってはバグになる。















……辛いな、これは。
本当に、理解できてしまう。
そういう考え方も、感情も、ムネーモシュネーの気持ちも、スッゲーわかってしまう。
システムらしくない、わかりやすいくらい、純粋で素直な動機だ。子供っぽいといってもいい。
だからこそ、スッゲー胸に刺さる。

『忘れる方が楽』だとか、『長い悲しみをダヴィンチちゃんは欲していない』とか、『異聞帯を滅ぼす罪は、一個人が背負うべきものではない』とか……。
全部、決して間違ってはいない。
ムネーモシュネーが言っていることは、ある側面では正しい。
そういうことは誰だって考えてしまうし、共感もする。甘い誘惑でさえない、“当たり前の感想”だとも思う。















しかし、それは駄目だ。
うまく言えないけど、駄目だと思っていると……その感情を、ハッキリとした言葉にしてくれる人が、叫んでくれた。

決して素直ではなく、熱血や感情任せの言動なんてものが似合わない人だ。
そんなライネスが、一生懸命声をかけてくれていた。主人公のために、叫び続けてくれている。

格好いい人だ。本当に素敵な師匠だ。今の主人公にもプレイヤーにも、必要不可欠な人だった。
こんなライネスの弟子になることができて、彼女と出会えて、本当に良かったと改めて思う。
次回、事件簿コラボ感想、最終回!