FGO第二部 Lostbelt No.5 プレイ日記14 でたらめで歪で純粋で



FGOのメインシナリオでは、マシュではない女性キャラクターが章ヒロインを担当しがちだ。
わかりやすくオルレアンならジャンヌだし、オケアノスだとドレイクだし……。ヒロインというより第二の主人公的な立場なパターンの方が多いかな。下総の武蔵ちゃんなんかは明らかに主人公格だ。

では、今回のコルデーもそういった立ち位置だったのかというと、ちょっと違った気がする。
コルデーの立ち位置はあくまでも『ゲストヒロイン』であり、メインシナリオに寄り添うメインヒロインではなかったと思う。シリーズ物の映画で登場する“一作限りのヒロイン”みたいな感じとでもいうか。

しかし、ならばコルデーのヒロイン性が薄かったのかというと、全然そんなことはない。むしろメッチャ濃かった。
他キャラクターやシナリオとのバランス上、メイン中のメインとして出張ることはしなかったけど、『心に記憶と傷を残していく、二度とは会えない女性』として、スッッッゲー刻まれた。
刻み方はエグいのに、メイン枠をかっさらいきれない感じが、なおさらコルデーっぽくて沁みる。
良かった……。本当に良かったよ……。





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※本記事では1.5部サーヴァントの真名を表記しています



アテナ・クリロノミアの恩恵

三つの神の力






アテナ・クリロノミアをコルデーに投与し、予定通りの処置を始める。
相当な苦痛を伴うであろうことはわかっていたけど、オリオンさえ振りほどいて暴れ狂うコルデーの姿を見ていると、『これが本当に正しいのか』『彼女のためになっているのか』という問いを抱かずにはいられない。
ネモ・ナースの可憐さに集中していられない。……気にはなるけど!





何を選んだのか






前回の選択肢。断言できたか、できなかったか。
どちらにせよ、主人公は苦悩し、自分を責めようとする。そんな主人公に対してマンドリカルドは、ちょっと前まで使い慣れていなかった「マイフレンド」という言葉をわざわざ用いて、声をかけ支えてくれようとする。

そしてその頃……コルデーの中でも、自身の無力さや悩みに対する自問自答が行われていた。
繰り返し己を責めて、価値もないし意味もないと言い続けているのに、諦めているのに生きようとする彼女の躰。
己の内側にいるもうひとりの自分自身が、「戦女神(アテナ)によって付与されるスキルを一つ、もう選んだ」とコルデーに語る。
そこでプレイヤーも思い出す、「プレイ日記08 オリュンポス大戦の勝敗」でへファイストスが教えてくれた、アテナ・クリロノミアの特性。『全戦闘能力向上、スキル付与』……。





「好き」になれた幸せ






努力が実り、コルデーは目を覚ました。
ゼウス・クリロノミアはアテナ・クリロノミアに駆逐され、彼女の容体は持ち直した。回復した……ように、今は見える。

今後もずっと大丈夫なのかは、わからない。わからないけど、そこまで巧くはいっていないようにも思う。
アストライアは、『アテナ・クリロノミアは人間の霊基が耐えられるようなものではない』『神に近付く人間は罰せられなければならない』と言っていた。きっとこの復活は、何らかの制限や代償を払う事にもなるのだろう。

それでも、少なくとも今この瞬間のコルデーは、笑っている。
周囲の人に「好き」と言えて、自分のことも「好き」と言えた。ずっと嫌いだった自分を、ようやく「好き」と言えるようになった。
そんな彼女が見られて、もう一度話をすることができてよかったと、心の底から思う。





最後の戦いに向けて

第三の艦






コルデーから再摘出されたヘファイストス・クリロノミアで、ノーチラスの再臨が成される。
ノーチラスを竜骨に、シャドウ・ボーダーを内核に、生まれ変わった第三の艦……鍛冶神ヘファイストスの力と神霊トリトンの力を持った、海を駆り深海を制覇する次元境界穿孔艦『ストーム・ボーダー』!!
完成だ!! ワーイ、装飾語と属性モリモリだぜ!! 要するにスッゲースゲェ船ってこと!!

外見はもちろん、内装もメチャクチャ変化した。
なんかスッゴイ立派な戦艦みたくなってる!?
このまま宇宙で戦争できちゃいそうな感じ。
見た目の豪華さとハイテクさも凄いけど、単純に内部が拡がりまくってない?
三等船室じみてたマイルームも、後で覗いてみたら超広くなってた。ヒャッホー!





手持ちのカードでいざ勝負




準備は全て整った……とは言えないが、最低限の用意は出来た。
こちらの状況は、アトランティス防衛軍とて重々承知の上だろう。艦の強化もオリオンによる狙撃作戦も、考えていることは何もかもオデュッセウスには全部バレている可能性が高い。

そういった危険極まりない状況を理解し、手を尽くすこと。勝利の可能性を数パーセントであっても上昇させるため……いや、“勝利する”ために、イアソンは作戦を立てて、方針と役割をそれぞれに振っていった。
ここに来て、イアソンがキレッキレに切れまくり。
前から『ぽく』なった感じはしていたけど、終盤になっていよいよノってきたような気がする。まさに火事場で閃きまくり。虎口にて閃く、全力回転開始。









イアソンの考えや策に異を唱える者は誰も居なかった。
疑うことさえもなく、全員が全力で、彼の立てた作戦に尽くす。

……そして、コルデー。
オリオンのように海神の加護を持つわけでもなく、アキレウスのように空駆ける戦車を持つわけでもなく、マンドリカルドのように前線で積極的に戦うことさえも得意ではない。
それを他でもないコルデー自身が十分理解していたし、イアソンも知っていた。
イアソンは出来ないことや苦手なことを「頑張れば出来る」なんて慰めるような男ではない。死ぬことが決まっている戦いに対し、「生き残ろう」なんて希望を語るような男でもない。
そういうことを語るのは主人公の役割だ。そしてイアソンは、主人公には出来ない事をやろうとしてくれていた。
アキレウスに向けて口にした、「安心しろ、使い潰してやる」の一言に、全てが詰まっていた。イアソンがここに居てくれてよかったと、改めて思う。





純粋無垢なエゴイズム

別れの時






出立の前に、コルデーは主人公のマイルームに最後の挨拶をしに来てくれた。
二人きりで過ごせる最後の時間だ。それでも彼女は、自分の想いをハッキリとは告げない。御礼を言い、別れを口にしつつ……彼女はただ、主人公の表情を見つめ続ける。
主人公が傷付いてくれることが、彼女にとっては昏い喜びでもあった。彼女に出来ることは、ナイフを突き立てて傷跡を残すことだけだった。





ありふれた女




“あの場”で、別れの挨拶で、コルデーはそんな本音を最後まで主人公には見せなかった。
抱え込んだ想いも喜びも、何度も口に出しては誤魔化してきたけど、結局本当の意味では伝えなかった。

少なくとも、今この時のコルデーは、主人公の幸運を祈りながら別れることを選んだ。
純粋無垢なエゴイズムを自覚しながら、傷付けることを夢見ながらも、花のように可憐な微笑みと共に去っていった。

……それなのに、主人公以外の前になると、あっという間にボロが出る。
最後まで格好付かないところが彼女らしい。そしてそんな鈍くささがトモカクカワイイ。









このシーン、超~~好き。
なんだかんだで良いコンビだよなぁとは思い続けていたけど、むしろ想像以上に超良かった。
お互いに相手に対して結構冷たいし線引きもハッキリしているのに、良い感じに組み合わさっている。デコボコがハマった結果、イアソンもコルデーも、それぞれ珍しい輝き方をしてくれる。

絶対に恋愛関係にはならない兄妹のような雰囲気が、見ていてとても面白かった。
……ヘラクレス島で飲んだくれていた頃からの仲だもんな。よく考えたら、主人公たちよりも長い付き合いか。
まぁ、コルデーは速攻でイアソンの存在を忘却していたんだけど。その雑さと適当さ加減が、改めてスゲー好きだ。