イブニクル プレイ日記39(完) 物語と冒険はまだまだ続く




イブニクルプレイ日記、最終回!

やりたいやりたい詐欺をしているうちに『2』を先に購入してしまったりと経緯はグダグダだったが、無事にイブニクル(1)をクリア&感想完走することが出来た。
最初に想定していたよりガッツリな日記になってしまったけど、全ては本作の魅力ゆえ。面白いのでついつい書きすぎてしまった。
ぶっ飛んだクセや中毒性があるってタイプではなかったけど、絶妙なバランスで纏められた優秀な作品だったと思う。

 





アリスソフト作品のネタバレを含む可能性があります







最後の戦い

「天才の孤独」とやら





ダンジョンの最奥で待っていたフェルトンとラストバトル!
彼の話は相変わらず“それっぽい”が、根底にあるのが「天才過ぎて辛いわーつまらんわー」って感情だと思うと、なんかこう、しょうもなく見えてきた。
自分の力や思想に酔ってる感じも出てきてる気がするな~。魔王を取り込んだ影響?
これならディガンマで戦った時の方が、まだ説得力や威厳があったような気もする。
ま、なんでもいいや! ともかく殴り合おうぜ!







VSラスボス





白騎士と魔王のパーツが融合したような姿、『魔王フェルトン』
先日戦ったセーデスとは造形の気合の入り方が違う。白と黒が合わさり、なんかこう、スゲーツエーしカッケー奴に見えてくる。

だが敵としては……決して弱くはないけど、それこそ前章での通常白騎士戦の方が苦労はさせられたかな。
ちょっと焦る場面もあったが、結局誰一人欠けることなく勝利できた。










ラスボスは最低二段階がお約束。
よりボリューミーかつグロい敵と戦うことになったが、フェルトン戦で消耗していた分を開幕回復してくれたりと意外と紳士的。サンキュー傲慢!
……そういえばそもそも傲慢担当ってフェルトンだっけ? だとしたら最後の最後にちょっと助けてくれたのかもしれない。
サンキューフェルトン。お前の屍を超えて、俺たちは前に進もう。










なんやかんやで欲望をぶっ飛ばし、とりあえず一件落着!
真のラスボスであるはずの『欲望』も、そこまで強い敵って感じではなかったな。
もうちょっと四苦八苦しつつ乗り越える的な気持ち良さが欲しかった気もするけど、まぁいいか。
ボス戦としての雰囲気は十分に盛り上がっていたし、アイテムやBP使いたい放題ってのも戦闘難易度低下に大きく関わっていたのだろう。
だってラスボスだし。使い渋る理由ないし。







物語は終わり、新たな旅が始まる










戦いは終わり、エピローグを経て、主人公たちは再び新しい冒険へ……という爽やかな結末。
この世界での物語が「おわる」からこそのフォロー満載、登場人物もりもり、やや強引なくらいのハッピーエンドな展開だったが、そんなところもこの作品らしい。
『色々あったけど、みんな幸せになりました』『これからも戦いは続く!』的な、大団円のようでもあり第一部完のようでもある、色々な意味でイブニクルらしいエンディングだった。










……と、そんな空気を少し変えてくる“おまけ”。
興味深い話だからこそ、もっと聞きたい……けど、そのあたりはやはり、次回作以降に続く感じか。
先程まで描かれていたハッピーエンド冒険譚とはやや毛色の異なる内容だったので、スタッフロールからそのままというより、クリア後にタイトル画面に追加されるタイプのオマケの方が良かったのではと個人的には思わないでもない。内容そのものは面白い。

アーサーの欲望は『希望』
そしてアスタの欲望は『戒律』と名付けられた。
残り108の欲望が明かされる日を信じて……!
クゥ先生の次回作にご期待ください!







おわり





これにてイブニクル感想、無事に完結だ。
評判の良さは前々からよく聞いていたけど、期待にガッチリ応えてくれる見事なゲームだった。面白かった!
遊び始めた当初は、時間が合わなくて『プレイ間が大きく空く』ことが実は多かった。そのせいで感情移入しきれず、物語にも集中しきれていなかったのだけど、これは完全に私個人の問題。自分が悪い。
間が空いてしまいつつもプレイを続けているうちに、「おっ……おっ!」と“面白さ”が加速していき、曖昧だった興味が一気に繋がって引き付けられて……その後からは黙々と遊び続け、ゲームクリアに至っていた。
この加速度については間違いなく本作の持つ魅力故だろう。










特に“掴まれた”のは、中盤あたりからのゲーム性の面白さ。
前にもどこかで触れたけど、BPの使い方や使い時を学び、仲間とスキルが出揃ってきたあたりから一気にのめりこんでいった。
スキルを憶えていくのが楽しいし、そのために探索するのも楽しい。
R18云々ではなく、いちゲーム・ひとつのRPGとして絶妙なバランスで構築されていて、昔ながらのJRPG好きとしてはガツンと心を掴まれていった。
メチャクチャ革新的ってほどではないんだが、ストレス設計が巧いので遊んでいて楽しい。
ちょっと飽きてきた頃にはゲームクリアだったのでボリューム的にも良かった。こういうゲーム、もっとやりたいなぁ。

戦闘システムはもちろん、ワープのやりやすさだったり雑魚殲滅の快適さだったりのゲームシステム面、そして多くのお嫁さんとの『自宅(嫁)イベント』や『イチャラブ』など、色々なものが「便利で、気軽で、楽しい」と感じられるものだった。
でもボス戦の難易度が全体的に低かったり、ギミックメインだったのはやや惜しかったかな。
頑張って勝利したという達成感をもう少し味わいたかったようにも思う。










一方、シナリオ。
こっちは良い意味でも悪い意味でも「わかりやすい」もので、ユーザーによって評価は別れるだろうが個人的には十分に楽しめた。わかりやすいからと舐めていたら足元を掬われたことも度々あったし、そういった“ちょっと意地が悪い”感じも含めて良い味を出している。
都合が良すぎたりチョロすぎたりする要素も無いわけではないが、「まぁこの世界観とノリなら、ありえるか」と受け入れられた。たまに苦笑いをしないでもなかったが、基本的には明るく楽しく愉快な世界で生きるアスタリスクたちの物語として、「そういうもの」として楽しく読めたと思う。










続いてシナリオに付随するキャラクターについて。
主人公アスタリスクは、エ□ゲらしさと〇ろうっぽさが合わさったようなユニークな奴だった。良くも悪くも今時っぽい、と言い換えてもいいかもしれない。
だがそれだけで終わらず、アスタリスクならではの逸脱した部分もあったりして、そんな彼独特のクセを受け入れられるか否かはシナリオ共々、人によって別れそうだなぁとも思えた。
シリアスな場面でも女の子の良さを熱弁するノリとか、一部のプレイヤーには「うわ……」と思われてもおかしくはない。もっとも、そう思うならもっと早い時点でプレイに断念しているかもしれない。

私個人としてはシナリオと同じく、アスタの言動はどんな場面でも「そういうもの」として笑って眺められた。
ただひとつだけ、ヤラセの扱いについてはかなり早い段階から疑問を感じていたので、なかなか決着を付けられないのにモヤモヤはしていた……というか矛盾に感じてしまったか。
女の子を傷つけるのを許さない立場として、エル・キホーテあたりで決着をつけてもおかしくはなかったと思うのだが……。
最後の最後に『主人公ではなかった男』として立ちはだかる構図を作りたかったんだろうな~とも思ったが、野郎であり只の屑でしかないヤラセが相手では大して盛り上がらなかったこともあり、目指した構図のせいでシナリオとアスタのキャラがぶれてしまった結果に終わったようにも見えた。










各ヒロインは言うまでもなく可愛い子揃いの良い子揃いで、全員が全員違ったベクトルで「好き」になってしまった。
イチオシを決めろと言われたら超悩むが……ああでも、どうするか……。せめて戦闘参加メンバー内でひとり選ぶなら……ってなるとスキルの役立ち度が関わってきてしまうし、非戦闘面子の中から……ああしかし(略)(優柔不断)。
さておき、各々はメインとなるシナリオや嫁イベントなどで語ってしまったので、ここでは最終印象(バトル感想含む)のみ軽く触れておこう。

ラミアス! 家族を守ってくれるメイン盾。“ヒロイン度”というだけなら、アスタと二人きりで旅した序盤がマックスだったかもしれないが、家族のひとりとして最後まで良い娘だった。家族が増えるとコメディ枠になりがちなのが、面白くも寂しくもあったかもしれない。
エ□に寛容的どころか超オープンで半分変態の域に入っている様はヒロインとしてとても新鮮。それなのにちゃんとカワイイ、という絶妙なバランスに唸った。

リッシュ! ヒーリングの女神。どの属性を強化するか悩みに悩み、白色破壊光線に魅せられて「光にしよう」と決めたはいいが、ボス戦は対個人なので全体魔法は活きないんだなコレが。
ビジュアルではトップクラスに好みだったが、中身もスゲー可愛い子だった。普段はしっかり者なリッシュにふとした瞬間甘えられるのが一番嬉しい。終盤のイチャラブはニヤニヤの嵐。キャラ崩壊に片足突っ込むほどハニーに対して厳しいとこも超好き。

グリグラ! 雑魚殲滅を始めとするスキルが優秀過ぎて、もう二度とグリグラと離れたくない。一生一緒にいてほしい。レンジャーのような盗賊・忍者系は素早さ優先で攻撃力控えめのイメージだったが、本作では全然そんな感じではなかったなぁ。
個人的には最後までお嫁さんというよりはカワイイ娘という気分だったが、グリグラが幸せなら結局どんな形でもええねん。エ□無関係に主人公がグリグラをかわいがったり、他嫁たちが率先してグリグラを甘やかそうとするのを見る度にイチャラブに負けずとも劣らぬほどニヤニヤニチャニチャしてしまう。

キャス! 応急手当とキャンセルなしには生きていけない。プラス状態解除はかなり早くに気付いていたが、敵のバフ解除に気付いたのはド終盤になってようやくだった(遅)。
シナリオ的にはトップクラスに頼りになる嫁として、ともかく活躍しまくっていた印象。お嫁さんに加わってからもデレは控えめで、最後までメチャクチャデレデレってほどではなかったが、その塩梅がキャスらしくてイイ。躁鬱の激しさや全体的に残念なところとか、新鮮味がありつつもキャッチーで、見事なキャラ造形だった。人気に納得。

ティオ! 非戦闘枠嫁としては最初の一人だったので、冒険不参加と知った直後はショックだったな~。でも最初の一人がティオだったのが良かったんだな、と今では思う。比較的常識人枠、普通の感性を持つ彼女とのやりとりはアッパー系な旅路に比べると穏やかで新鮮でもあったし、そんなティオが家で待っていてくれることには安心感も強かった。嫁イベント二個目のヤツがやっぱり好きですねぇ。

キノウ&キョウ! ミステリアス姉妹からトンデモ正体発覚で、個人的に一気に好感度急上昇。ツエー奴に俺は弱い。上位存在とか伝説の生き物とか誰だって好きでしょ。デレデレドロドロお姉ちゃんでありつつも線引きしていたり、アスタの周囲のお嫁さんのこともおおらかに受け入れて見守ってくれるところは「都合がいい」という見方ができなくもないが、それでもやっぱり嬉しかった。個別イベントも欲しかったけど、まぁ仕方ないか。でも残念。

エリモ! お嫁さんになったことに驚いた度ではトップクラス。でもいざ家族に加わってみたら、キャスとは別方向に有能だし下ネタ的にも頼りになるし、可愛くて楽しいお姉さんだった。やっぱロリお姉ちゃん属性は最高だな。世渡りが上手いけど孤独を埋め切れていなかったエリモにとっての居場所になれたってのがともかく嬉しい。エピローグでの『大ピンチを救う為の準備を進める』ムーブもエリモらしくて超良かった。「惚れ直すよな!」とか期待してるのにマジ萌え。

トワ! 不思議存在かと思ってたら実はそんなこともなかった系ヒロイン。サービスシーンくらいで終わると思い込んでいたので、嫁に出来たのにはかなり驚いた。終盤には貴重な純情娘として、日々の生活や冒険やエ□スにも彩を与えてくれる存在でもあった。汚れちまつて以降はそういう方面にじわじわとキャラが崩れていった感もあったが、人間らしく面白可愛いのでそんなトワもあり。外典の『白い家』は酷い事件だったね。

クロア! 本編にもガッツリ出番が用意されていた分、嫁入りは最後だったので『家族として皆でワイワイ過ごす』パートが短めに終わってしまったのはやや残念。でもキャラは間違いなく立っていたし、悲劇的なアレソレにはどうしたって心を掴まれた。昔ながらの“攫われたお姫様”枠と言えなくもないが、境遇がハードすぎるよな。その分、短い上に終章だけに偏ってしまったけど、穏やかで幸せなアフターフォローエピソードが用意されているのには安心した。クロアお姉ちゃんにデロデロに甘やかされる系××は、もうちょい長尺で見せてもらっても……。

ナタール! サブヒロイン筆頭。絶対に嫁入りすると思っていたらまさかのパターンだった……。でも『なれなかった枠』としてはシナリオもキャラもメチャクチャ立っていたので、総合的にはメインヒロイン勢に負けないくらいプッシュされまくっていたのだとも思う。おそらく近いうちに嫁になるのだろうという希望が明言されたのは嬉しいが、できればその瞬間が見たかった……。せめて、せめて幸せな××だけでも……。そういう意味では悔いも残ったが、心にも残った。










クリア後、『外典』も早速プレイ。
無料とは思えないほどのボリュームを楽しませてもらった。
おまけシナリオはどれも面白かったなぁ。出オチのサンマパワー凄ェよ。感心しちゃったもん。

あとはやっぱ、ナタールの今後の可能性を再明言されたのも良かった。後日談っぽい環境で元気そうにしている&近々幸せになれそうな彼女の姿を見られたのは本当に嬉しい。
アスタ主人公のイブニクル続編があれば、それこそ追加嫁一番乗りに出来そうだけど、作品の性質的にシンプルな続編ってのは逆に可能性が低そうな感じでもあるのはやや残念だ。
でも新しい主人公や新しいシナリオ、新しいヒロインで挑む今後のイブニクルシリーズもとても楽しみ。
まずはさっそく「2」をやってみたいと思う。










冷静になって、改めて振り返って評価してみると……超尖った鬼作や神作と呼べるほどの強い“何か”は感じ辛かったかもしれない。
だが総合点はとても高く、バランスに優れた秀逸な作品だったと思う。優等生的とでもいうか。
周回ややりこみ方面での追及ではなく、『一周でさっくりと遊びきる』方針で造られたゲーム設計が、世界観にもハマっていた。ゲームとしての遊びやすさや快適性にも繋がっていたと思う。

『イブニクル』シリーズが今後どういった形で発展していくのかはまだわからない。
でも最初の一作品に触れて、その楽しさを知った身としては、今後の展開に期待できるシリーズが存在するってことが嬉しい。
やっぱりゲームは面白いな!