【単発ゲームレビュー】フィットボクシング




体力作りに、ダイエットに、運動不足解消に……。
ニンテンドー据置器のゲームとしてお馴染みのフィットネス系ゲームの新作として、2018年に発売された『フィットボクシング』
私は発売から半年後にようやく購入し、サボりつつではあるものの無事に一年以上続けたこともあって「よっしゃ。レビュー書くか!」と重い腰を上げようとしたら……続編『フィットボクシング2』が発表された。
しかも来週にはもう発売されるらしいですわ(現在2020/11/28)。


続編発売が間近に迫る今、『1』についてのレビューとか時代遅れにも程がある気もするが、仕方がない。
正直どうあっても誤魔化し切れない空しさは感じるけど、自分なりに感じた点を書き残していこうと思う。
なお今回の記事では、並行してプレイしているフィットネス系ゲーム『リングフィット』についても少し触れている。

 







ゲームとしての『フィットボクシング』






本作はスイッチのJoy-Conを両手に持ち、流れる音楽のリズムに合わせてジャブ・フック・アッパーなどの動きをこなしていく、音ゲーとフィットネスを足して割ったようなゲームだ。

音ゲーとしての難易度……動作に対する判定精度は、さほど厳しくはない。
うっかりフックとアッパーを間違えても、タイミングさえ良ければ『JUST!!』と判断してもらえることが多い。
高得点を狙おうと思うとさすがに意識して音と動きを合わせる必要が出てくるものの、「音ゲーがメチャクチャヘタクソ」な人間でもそれなりにクリアすることは可能だ。
コース・音楽共に多種多様ってほどではないが、日々の日課として軽い運動をこなしていくと思えば、飽き易くない程度のバリエーションはあると思う。


ただ、パンチ系の判定が甘いのとは逆に、ステップ系の判定はともかく何をどうしたらいいのかってレベルで分かり辛い。
判定させるために辿り着いたのが『激しくジャンプしつつ前後する』などの動きになりやすく、ドッタンバッタン我ながらやかましくて仕方がない。

解決法としては、一度とりあえず(ドッタンバッタンで)★3クリアをした後、デイリー設定でのエクササイズ効果を『ウエストシェイプ』にするといい。
ステップ系コースがほぼ出なくなるので、平穏な日々を取り戻すことができる。
ただ、代わりに用意されるデイリー内容が通常パンチ系やウィービングばかりに偏ってしまい、「飽き易く」なってしまうのが本末転倒気味ではあるのだが……。







運動としての『フィットボクシング』






「フィットボクシングだけでめちゃくちゃ痩せました!」ってのは、まず無理だと個人的には思う。
毎日長時間やり続ければ痩せるのかもしれないが、それはもはやフィットボクシング以外の運動でもいいワケで……。
ただ、運動が苦手だったり運動する習慣がない人が踏み出す第一歩としては、かなり入りやすい作品だとも感じた。

音楽に合わせて動くだけといっても、真面目に呼吸しつつお手本を真似ていれば、体には十分な負担がかかっている。
慣れないうちは初日で即筋肉痛は当然だし、慣れてもボディフック連発した翌日にはやっぱり体は痛くなる。そして体を動かすことに慣れていけば、確実に「痛くなる」頻度は下がっていく。
劇的な減量には繋がらずとも体力維持・体型改善には意味があるし、ゲームによる運動だけでなく食生活あたりも一緒に改善すれば、効果は確実に出てくる。










フィットネス(軽い運動)としての『フィットボクシング』の良さは、敷居の低さと手軽さだ。
ひとつのコースにつき5分~15分ほどで終わり、それを複数セットしていく【デイリー】の仕様はプレイヤー毎の好みや生活スタイルに合わせやすい。
「毎日ちょっと」でも「休みの日だけガッツリ」でもいいし、どちらにしても相応の効果(運動量)は得られる。ちょっと食べ過ぎた日は時間長めにプレイする、なんて変更もやりやすい。

良くも悪くも単調なゲームでもあるので、わりと無心でボンヤリしつつも出来る……というのは人によっては好みが分かれるだろうが、個人的には長所でもあると思う。
たとえば『リングフィット』のバラエティ豊富な運動の数々と比べると超シンプルに感じるのだが、「チマチマせず、サクッと日課の運動を終わらせたい」時には『フィットボクシング』の方がちょうど良かったりする。
飽きっぽかったり運動習慣のない人は二つのゲームを併用するのもオススメ。










ただ、そういった“日課の運動”としての『フィットボクシング』を楽しみたい場合、【中断】の仕様は個人的に大きなマイナス。
プレイの途中からの中断・再開ではなく、コース最初からやり直しになる仕様はハッキリ言って不便だ。なんでもう一回やらなきゃいけねぇんだよ(※本音)。
このあたり、続編では改善しててほしいな。私としてはステップの判定並みに気になる点。







俺たちと【インストラクター】






本作の魅力としてよく挙げられているのは、ゲーム画面に立ってくれるお手本【インストラクター】のバリエーション。
キャピっとした若い娘から渋めのオッサンまで幅広く、しかも彼らの髪色・肌の色・服装などは自由に着せ替えしてもらえる。CVも豪華。コツコツ続けていくと衣装がアンロックされていくのも遣り甲斐があって嬉しい。

もうちょい服の種類が欲しいとか髪型変更が欲しいとかも思わないでもないが、そこまで求めるともはやキャラクタークリエイトの域で別ゲームになってくるのかもしれないな……。
ちなみに私のお気に入りインストラクターはマルティーナ。ハキハキした声掛けが小気味よくて好きだ。










【インストラクター】は基本的に優しく丁寧に教えてくれる。
マルティーナとばかりトレーニングをしている私だけど、ミスしたところで叱られることは(たぶん)無い。
どれだけ失敗しても、ドッタンバッタン見苦しく地団駄を踏んでいても、彼女たちは微笑んで受け入れてくれるはずだ。相手が人間じゃないのって気楽でありがたい。

……ただ、引っかかる点がひとつ。
プレイ間隔の日数が空いてしまうと、「久しぶり」とか「少し間が空いたね」とか言われるの、ちょっとイヤじゃね? 俺が面倒くさい人間なだけ?
平日はプレイできないこともあるし、予定が狂えば一週間触れなかったり『リングフィット』に偏る生活を送る時もある。
マルティーナが嫌味で言ってるわけではないことは、さすがにわかっているのだけど、「あーあ、言われちゃった……」みたいな感じでちょっとモヤモヤする。人間相手じゃないはずなのに、この時だけ変にリアルに感情が寄ってしまう。

カレンダーにスタンプを押したり、期間が空いたりプレイ空白が生じたことをゲーム側で把握しているのは良いことだとも思うが、わざわざインストラクターに言わせる必要はないんじゃないかなという……弱いオタクの意見っす。
でも実際、そういうことの積み重ねで「久々の起動になるから、気乗りしないなぁ……からの卒業」って現象は起きやすいとも思う。







おわり






間もなく発売される『フィットボクシング2』
前作のデータが引き継げるとのことだが、購入するか否かはまだ私は決めていない。今のところ、『1』で満足しているしなぁ。
今回の記事で触れたマイナス点が改善されていそうなら、また改めて検討しようと思う。