イブニクル2 プレイ日記39(完) 世界一のお医者さん




イブニクル2プレイ日記、最終回!

体感的には前作の1.5倍くらいのボリュームに感じられた本作だが、プレイ日記は全39回。
示し合わせたように前作と同じ回数での完結となって、自分でちょっと驚く。よく収まったな!?
二作合わせてほぼ一年間も楽しませてもらったことになる。

 





※イブニクル(1)とランスシリーズのネタバレを含む可能性があります







エピローグ

アレクの選択










ラスボスを倒してのエピローグタイム。
各サブキャラのその後の様子だったり、各ヒロインとの御褒美イチャイチャタイムだったりを超えて……前作EDと同じような問いかけをクゥから投げかけられる場面になった。
知識欲に溢れる冒険野郎ならイエスと応えるだろうし、そうでなくても『主人公』たるものこういう状況では頷いて当然。
……だけど、ここで「ノー」を返せるのがアレクらしい。

前作とは違う答えを返すというだけでも興味深いし、そこに至る理由が度々繰り返していた「医者だから」という部分に再び繋がっていくのも気持ちが良い。
アレクらしい結末だなと思えた。あとナースモリモリCGは非ッ情~に素晴らしかった!







スタッフロール後に





そしてスタッフロール後には前作にもあった“おまけ”……と思いきや、前回よりボリューム増えてるじゃねぇか!?
しかも伏線マシマシ、重要事項モリモリ。
こういう大事なことはもうちょっと早く言ってほしいんだけどなぁ!










ここのパートはあくまでも、メタネタ混じりなネタバレ座談会枠くらいの認識で居たので、ちょっと詰めすぎにも感じられた。
前作と本作を繋ぎ次回作にも繋げていく超重要なエピソードだってこともわかってはいるが、やっぱりもうちょい早く本編中で言及すべきだった要素が多い気もするな~。
特に『廃棄迷宮の女』の件!
作品を股にかける存在(敵)ってのはよくある設定だしそれ自体否定するつもりはない。
でも散々黒幕周りで言及されたくせに本作では登場せずに終わらせるのなら、もうちょい早く事情を明かすのがフェアってもんでしょ!

ひとつひとつの要素も設定も興味深いし可能性と期待を憶えるし、『ピラミッドのフェニックスは実はヤバい存在』みたいなネタも面白いんだけど、ラミアス母(だよな?)の件についてだけは、個人的には納得し辛かった。
本作で決着をつけることは出来ないとしても、それはそれとして、せめてもうちょいヒントなりフォローなりが欲しかった気がする。







おわり





最後のオマケパートに引っかかってしまったせいで、ややシメが愚痴っぽくなってしまったけど……ともかくこれにてイブニクル2感想、無事に完結だ。
『先に2を購入してしまったけど、どうせなら1→2と順番通りに連続で遊びたい!』という考えの元で始めたイブニクルシリーズ初見プレイ。
超ボリュームのゲームを二作連続ってのはスッゲー時間はかかったけど、とても楽しかった。
そして1→2の順番通り、連続で遊んだことにもすごく意味があったと思う。やってよかった! 俺は間違っていなかった!

そのせいでゲーム中でもプレイ日記中でも前作・本作を比べがちになってしまった。
でも違いがわかりやすかった上に設定も把握しやすかったので、個人的には正解だったと思っている。










そしてこの“まとめ”感想でも、前作と比較して語らざるを得ないのだが……まずは本作個別で語ってみよう。
本作はざっくり言うと『お医者さんになって嫁や患者とイチャイチャしつつ、世界の敵と戦う』ゲームだった。
シナリオは王道を基本としつつも捻くれたところも用意されていて、特に終盤にかけて様々な謎の答えが明かされていく流れは読み進めていても純粋に楽しむことができた。
何より、登場するヒロインが可愛い子揃い! 結局これが一番重要!
メインはもちろんサブも個性豊かで、エンデやブラウニーのようなサプライズも用意されている(と個人的に感じた)のも嬉しかった。
前作でも行ったので、今回も各嫁の感想を軽く書き残しておこうと思う。バトルでの使い心地を含む。

ユラギ!
家族を守ってくれるメイン盾。困った時のドラミングは効く~ッ! 何度も救われました! HP量的にも、ユラギがギリギリ生きていたことで勝利できたってパターンは多い。
最初の嫁は正確に言うとカノにあたるけど、プレイヤー的にはユラギが一人目という印象が強い。前に出まくるタイプではないのでメインシナリオでそこまで目立つわけではなかったが、終盤の戦士の丘でのアレソレも良かったし、『いつでも傍にいてくれる』The・お嫁さん代表という感じが最後まで心地よかった。嫁イベント五つ目が、ユラギの良さと魅力の全てを語っているようにも思う。あったけぇんだよなぁ。

カノ!
実は第一印象ではカノに決めてました。実際には思っていた以上にチョロくて格好が付かないところまで全部可愛かったけど、そもそも設定が反則級。ボクっ子が幼馴染属性とか絶妙すぎる。好きに決まってるじゃん!
撲滅ボーナスで育てた連撃率で敵をゴリゴリ削ってくれるのが気持ちいいアタッカーでもあった。ただHPがちょい低いのか、ボス戦では耐えきれないこともしばしば。必中系全体攻撃をするボスを許してはいけない。
一皮むけるとデレデレなんだけど、なんだかんだで頑張ってツンを維持して努力している(巧くいかない)カノは最後までちょっと惜しくて可愛い嫁だった。恥じらいは××シーンでも光る。

プラチナ!
必殺率を育てたおかげでしょっちゅうシュピンシュピンしてくれるメインアタッカーの一人。ボスにはロブハート・雑魚には八方微塵で常に大活躍だった。幼女最強。
私個人がロリに造詣深くないので、前作グリグラに続きプラチナも「女」というより「娘」として見えてしまった面が強い。特にプラチナはグリグラ以上に幼さを強調されていた印象なので、そういう癖のプレイヤーにはたまらなかったんだろうな。個人的にはまぁそれなり、たしなむ程度。
でも一人の女の子、一人のキャラクターとしては間違いなく魅力的だったし可愛かった。人とは異なる長さを生きるものとしての苦しみと業をプラチナのようなキャラに背負わせるの、わかってる。

シャロ!
シナリオの随所に加えてラスボスのアレソレでも活躍しまくったスーパーヒロイン。前作のキャスどころじゃない抱え込みっぷりじゃないか? 今思うと、ちょっと偏っていたような気もする。
明るくて色っぽくてたまにワイルドで、怒ると怖いんだけどなんだかんだで好きな人を大切にしちゃうところとか、すごく可愛いしすごく好き。序盤はハラハラしっぱなしだったエミーリアとの関係性も、とても好ましいものに落ち着いて良かったな~。
ユニットとしては、軍師担当な彼女が役に立たないわけがないっつーね。アツさ優先で『ヒイラギのクナイ』はカノに渡してしまったが、シャロ用にしても良かったかもしれない。HPのせいかレベルがちょい低くなってしまったせいか、よく死んでしまうのも辛い。

エミーリア!
シャロのとこでも言ったけど、ブロンテ姉妹の最終的な関係性、スッゲー好きなんスわ。お互いに普段は扱いが雑なのに、いざとなると姉(妹)想いな面が出ちゃうの、姉妹同士でツンデレてるみたいでサイコー。永遠に見てられる。
最初期の腹黒っぷりには超不安を抱いたが、改心してからはかなりのお気に入りヒロインとなった。常識とツッコミを振りかざしてくれるキャラクターは必要。何よりもシナリオが面白くなる。

エンデ!
本作の裏メインヒロインと呼んでも過言ではないキャラクター。序盤で出会った時からずっと期待していたので、嫁になってくれたのはマジで嬉しかった。本当にありがとうございました!
無垢で無表情から一転懐いてくるクーデレ系キャラとしても魅力的だったが、その正体にまつわる色々は予想外な部分もあって、ぐぐっと引き込まれた。嫁イベント2&3は名作。倫理? うるせぇ!
『仲間の入れ替えはない』本シリーズのシステム的に難しいだろうけど、連れ歩いてみたかったなぁ。エンデに世界をもっと見せてあげたい。

ゼロ!
ドラゴンを嫁にした経験はあれど、母子セットでってのは初。ゼロ自身の性格が予想外というより、プラチナの母親まで嫁になってくれるとはプレイ前まで想像もしていなかったので、非常に興味深かったし面白かった。
キャラクターとしてはチートすぎて設定語り担当のようになってしまうのは仕方ないとはいえやや惜しくもある。両刀ヒロインとして、もっと色々な嫁と絡んでくれても個人的には良かったのだけど……このあたりはプレイヤーによって好みが別れるんだろうな。

ヒイラギ!
カノとの信頼関係はわかっていたけど、姉妹設定は完全に予想外。それ自体に文句はないが、嫁イベントが姉妹ネタ多めになってしまったのがちょっと残念でもあった。ヒイラギちゃんも「ぐへへ」もギャップ可愛いし超萌えたけど、ヒイラギ個人と俺個人とでもうちょい距離を詰めたくもあったんだよな~。
ただ、最後までそんな感じでデレきらないヒイラギのキャラ性はすごく好みでもあった。チョロめなヒロインが多い中で、主人公にクールに対応してくれるヒイラギの温度は新鮮で楽しい。だが、だからこそもっと個人的に距離を詰めたくも……以下エンドレス。

パトリオット
このヒロインがチョロいinイブニクル2金賞受賞。とはいえ、攻略されていく経緯自体は自然だったし納得の落としどころでもあった。無自覚に恋に落ちちゃう女の子は可愛いよね。
純情過ぎて真っ直ぐすぎてちょっとバカっぽくもあるパトリオットは、メイン嫁とも各サブヒロインともまるで違うキャラクターとして魅力的で、サブofサブのようにしておくのが勿体ない逸材。嫁イベントが二回だけってのは本当に惜しい……。他の二回勢にも言えることだけど……。

スパルタン!
このヒロインがチョロいinイブニクル2金賞W受賞。パトリオットに比べると二番手故にサクサクと攻略された感も強かったが、まぁシナリオのテンポ的に仕方がない。終盤に二人そろって変態の域に入りだしたのは好みが別れそうでもある。
嫁イベント1で描かれた黒さ&我儘になりきれない部分は彼女独自の魅力。そのあたりをもっと深く掘り下げられるのを見たかったようにも思う。二回か……。

ロナ!
ほぼ最後まで引っ張られたけど、それだけのことはあるご褒美的な極上ヒロイン。二回略。
焦らされたことがロナの魅力と価値を引き上げることにも繋がり、良い意味でも悪い意味でもキャラが崩れることはなかった。恋をしてグズグズになっていくダメヒロインも可愛いけど、ロナにその道を進ませなかったのは英断。ただしもっと嫁的な面や、女の子らしい面を見たかったとも素直に思う。デレきってほしくはないが、デレていく過程も観たいんじゃ……ユーザーは我儘な生き物なんじゃよ。

ブラウニー!
まさか嫁イベントまで用意されている枠になるとは、初登場時は想像もしていなかった。コメディ要員のような印象が強かったけど、長くスキスキアピールされてるとこっちもその気になってしまう分、応えられないかもと申し訳なく思いかけていたので、彼女の夢が叶ったのは嫁云々以前に嬉しくもあった。良かったな、ブラウニー! おめでとう!
ところでブラウニーといいロナといいパトリオットといい、嫁イベが二回しかないのに××一回で複数人仕様ってのは納得しづらい。可愛いヒロインたちだからこそ、初回だけでなく1on1での再戦も欲しくない?










そんなヒロインたちに囲まれる幸せ者で主人公なアレク。
前作主人公アスタリスクに比べると冷静で知的寄りの男ではあったが、本質的には似たようなものというか、イブニクルらしい主人公キャラクターだったと思う。
それこそ最初のうちは新主人公というより、失礼ながら『アスタ二号機』みたいな感覚でストーリーを読み進めていたのだが、後半になってアレク関連の設定が明らかになると共に“違い”も見えてきて、最後のエンディングでのクゥへの返事で一気に差が確立したことで【アレク】としても完成したようなイメージが私の中にはあった。
アスタの選択とアレクの選択、どっちも違ってどっちも興味深い。最終的に取っ組み合いになったのも彼ららしい。争いは同じレベルの者ウンタラカンタラ。

敵キャラやサブキャラも本作は豊富だったけど、個人的なお気に入りキャラはド直球ド真ん中に聖女トリオ。一人を選びたかったけど選べないくらいには三人とも別方向に好き。
ラスボストリオについても物語・背景設定共に面白かったし、なんだかんだで悪印象が持てるはずもなかった。
悪印象が持てなさ過ぎて、ラストバトルへの勢いが上がり切らなかったのが惜しいと言えなくもないか?
まぁそのぶん、最後の最後にアイツがもう一度出てきてくれたのは、色々な意味でちょうど良かったと思う。
アイツも最後までブレずに気持ち悪く……むしろ復活したせいで今までで一番気持ち悪くなってて、なんか良かったよ。










さて、ここからちょっとだけ厳しいことも書いていく。

本作は全体的なボリュームが多く、キャラクター立ち絵やCGやマップなどの素材も多く、ひとつひとつが豪華だった。
ゲームメーカーでもないしクリエイターでもない私には細かいことはわからないが、一目見ただけでもすッッッごく豪華な作品だとわかった。
超一級品の食材で作られた作品ではある。……しかし、細かい部分と最後の仕上げ方がちょっとずつ惜しく、素材を超える料理にはなりきれなかったという印象もある。

惜しかった点は、たとえばゲームシステム。わかりやすく『英雄病』を例に挙げる。
シナリオと世界観に繋がっていく独自要素として面白かったし、前作との相違点として新鮮味もあったし、ひとつひとつのテキストや設定はユニークで楽しかった。
ただ……慣れないうちはゲームのテンポを阻害するストレスでもあった。その苦しさを最も強く感じるのが一章~二章の超序盤ってのは、シナリオ的には正しいだろうがゲーム設計として間違っているように思う。
難易度って普通、後半になるにつれて上がっていくもんでしょうが! 最初がクソキツいなんて、そりゃ誰でも泣くよ!










前作は『先が読めて』『明るく楽しく』『ストレスなく』遊べるゲームとして作られていたし、実際にそうだった。
アリスソフト作品に詳しいわけではない私が語るべきではないかもしれないが、たとえばランスシリーズや大シリーズのように骨太で難易度高めを覚悟&期待される作品とは違って、【ライトに楽しく最後まで遊びきれる】のがイブニクルシリーズのテーマであり、作品の軸になっていくのだろう……と、前作クリアの時点では思っていたのだけど……。

一方の本作は、【ライトに楽しく最後まで遊びきれる】難易度バランスやシナリオ構成だったとは言い難い。
シンプルだった前作に比べると、敵の掘り下げが細かかったり意外な展開を用意していたり、複雑な構成を狙っているようにも感じられた。
エロゲ―らしい意地の悪さや、あえてハズしてみたり茶化してみたりするような悪戯心の配分も、比較的王道だった前作よりも多かった。

それはそれで続編としては間違っていないのかもしれないが、【ライトに略】を予想していたプレイヤーや前作ユーザーには響き辛くもあったかもなぁ……とは正直思う。
「美味しかったハンバーガーをもう一度と思って来店したはずが、スパイスに拘ったドライカレーが配膳された」感じというか。
ハンバーガーもドライカレーも美味しいし、「まぁどっちでもいっか」ってなる人も居れば、「いやハンバーガーが食べたかったんだけど……」ってなる人もそりゃ居るだろう。










私個人としては、美味しく遊ばせてもらったし最後まで楽しめたけど、改めて振り返ってみるとちょっと引っかかるところもあったかなという感じだった。
でもやっぱり基本的には面白かったし、たっぷりのボリュームで長い時間を楽しませてもらった。
軽く愚痴りもしたけれど、最後のオマケで明かされた新情報は気になることまみれ。そのあたりが明かされるであろう次回作にも期待したいと思っている。
新しいことに挑戦しつつも『イブニクルシリーズらしさ』のある新作、まだかな~。
……近年の流行的に、ソシャゲになる可能性も高いのだろうか?
どうなるかわからないのでテキトーに言うけど、わりとアリな気もする。ライトな作風や、複数世界とヒロインを股にかける設定的に、そういう形態も向いてそう。
あ、でもソシャゲだと本作の良い意味でのJRPGっぽさや戦闘システムが変わってしまうのか? それは勿体ないよなぁ。