FGOイベント 聖杯怪盗天草四郎 プレイ日記06(完) 聖杯を盗んだ男
怪盗イベント感想、最終回!
小規模ながらも、ストーリー的にも各鯖のファン的にも読み応えのある面白いイベントだった。
明るく愉快な怪盗劇! ……の裏でフンワリと感じる天草の重量感!
いや~面白かった。そして面白かっただけでは終わらず、最後には特大のエールを貰ったような気分でもある。
ホワイトデー当日のオマケ(声付)シナリオも、女性ファン向けのホワイトデーサプライズってだけでなく『今まで付き合ってくれたマスターへ、天草からの感謝と親愛』が籠っている感じで胸熱だったな。
最後の最後まで祝福がたっぷり詰まった、予想以上の超・天草劇場だった。
※本記事では1.5部サーヴァントの真名を表記しています
盗みの結末
すべてはこの瞬間のために
ぐだぐだで無茶苦茶な『突然のサーヴァント自白タイム』。
次から次に、おかわり&おかわりの勢いで告白が続くのに、読んでいるこちらもナンジャコリャと笑っていたが……そんな混乱こそが、天草の作戦のキモ。
な、なるほどぉ……ッ! そうきたか……!!
綱にケースを斬らせるってところまでは読めていたけど、シェイクスピアによるエンチャントからの斬鉄剣モドキまでは看破できていなかった俺氏、普通に感心&ちょっと悔しくなる。館長たち共々、一本取られたぜぇ!
そして改めてよく考えてみると、勝算があったとはいえ自分の命を超簡単に賭けてしまう天草四郎という男が怖すぎる。
あの男、オモシロ怪盗ムーヴの陰で「やっぱヤベェよコイツ」感をモリモリに盛ってくるな……。
痕跡を蒐集した理由
最後の隠し玉キャスターの正体は、なんとメフィストフェレス!
この人選もわりと意外……? ギリギリまでシェイクスピアが敵側だと誤認していたので、私は最後まで気付けなかった。ミスリードに引っかかりすぎで我哀れ。
でもそういえばモーさんに問答無用で「黙ってろ」とまで言い切られていたし、相手がメッフィーってのはなるほど納得。だってうるせぇもん。
喋られたら即バレ不可避だし、そりゃ何がなんでも黙らせるわな。
最後まで隠されていた存在として出番の尺はさほど長くはないけど、メフィストらしい自由さで敵・味方の動機を計って天秤にかけんとする様はなかなかオイしいポジションだ。
続いて明かされた館長の正体。こっちはこっちでなかなか意外な内容だった。
普通の人間ではなさそうだなとは思っていたが、そもそも人間ですらなかったとは……。
あのモーさんすらも退屈しのぎに付き合ってくれたり、メフィストが目を付けるくらい興味を抱いたのも、館長の正体がコレだと思うと色々と腑に落ちてくる。
なるほど、ある意味ではとても純粋な存在でもあったんだろう。いやむしろ、英雄に魅せられたことで純粋ではなくなったと言うべきなのか?
元々の在り方から少しだけ“はみ出してしまった”元無機物や概念の自我や我欲って、泥臭くて不純になったからこその美しさみたいなものが感じられる。最期の姿や主人公との別れのやりとりも、とても良かったな。
「まだ目は見えるか?」からの荊軻さんの台詞も沁みた……。荊軻さんは本当に誠実で格好いい人だ。
さっきまではハチャメチャなコメディみたいなノリでクライマックスを迎えてたのに、最後の最後にすごくしんみりあったかい気持ちにさせられた。
しかし、まさか最終節で戦闘ゼロとは!
最終日に解放されたエピソードが『物語のみ』表記だったのには驚いたが、実際に読んでみたら納得もした。
こんな終わり方になるのなら確かに戦闘は必要ではない。
戦わなかったことにどこか嬉しそうにしているサンソンの姿も地味に良い。
今回の彼は思っていたよりサブ寄りのポジションに終始したけど、本人が満足そうかつ終始平和&楽しい感じだったので、なんか良かったよな~って思った。語彙のない感想。
君の旅に祝福あれ
こうして全ては円満解決。
楽しそうに高笑いしつつ夜空に消えていく怪盗の姿に誰もが呆れて、物語は終わる……。
……と、これで〆れば「いつものやつ」。
今回はここから更にもう一歩踏み込んでいく。
来たか……。見覚えのある炎上背景。
仲間と協力してお宝を盗み取る、楽しく痛快な怪盗コメディ。
そのエピローグに“これ”を持ってくるとは……天草四郎らしい。
背景に似合わないくらい穏やかな会話の中には、天草の強さと人間臭さ、そして『今と未来を生きる者』である主人公を想ってくれている絆の形とがよく見えて、伝わってきた。
本当に重く、複雑な男だ。ラスボス枠は伊達じゃねぇや。
イベントパートの多くは楽しく明るく爽やかだったのに、最後にちょっとだけ苦みと痛みが残るような光景だ。
だが館長の最後の言葉といい天草の見送りといい、切なさの中には未来への希望が確かにあった。味わい深い良いシナリオだったなぁ。
おわり
これにてホワイトデー2021イベント感想、完結だ。
いや~楽しかった!
さほどシナリオボリュームは多くないはずなんだけど、細かいところも丁寧に作りこまれているからか満足度が高く、最初から最後までただただ面白く読み進められてしまった。
キャラクターひとりひとりの描写も“らしさ”と“おふざけ”の塩梅もバランス良くて、そんな楽しい仲間たちと盗みの計画に向けてコツコツ作業をしていくのがただ単純に楽しかったな~。
バトルがイベント戦ばかりで緊張感に欠けたのは評価が別れそうでもあるが、楽だったので個人的にはアリ。シナリオを読むタイプのイベントとしては、こんなもんでも良いような気はする。
全体的に明らかに『小規模イベント』って感じの作りだったが、それが気にならないくらい最終的には満足した。
昨年~今年に開催されたイベントの中でも、個人的には結構上位に挙げられるくらいには出来が良いと感じられたな。
メイン級でないサブ寄りのキャラクターさえも彼ららしく魅力的に描かれていたのも好印象だった。
出張り気味なアラフィフあたりは言うまでもなく、さり気なくシェイクスピア・天草の元アポ主従の信頼関係(?)に言及されているのにもニヤリ。
基本的には明るく楽しいノリを貫きつつ、最後の最後に天草四郎の影の部分にもしっかり踏み込んだ点もとても良い。
「アイツあのまま、ばっくれないだろうな……」でもコメディとしてオチてはいたけど、それだけで終わってしまったら個人的には評価はそれなりで収まっていたかもしれない。
“いつものオチ”からの“炎上島原”の二段構え……さすがだぜ。今回のライターは天草過激派に違いないね。
……ってのは冗談にしても、『世間一般のFGO天草イメージ』と『天草四郎(コトミネシロウ)』の両者を描写しつつ、一見重くなりすぎないけど実は重いみたいなバランスの取り方は本当に巧かった。
怪盗イベントは実質天草幕間。むしろFGO天草本編。
というか天草の本物幕間二種類からの今回のイベントって流れが、内容的にも『サーヴァント・天草四郎』としても超完璧だった。
天草との最後のやりとりも館長との別れの挨拶も、どこまでも『未来に生きていく主人公への祝福』に溢れていて、なんだかとても希望にあふれた物語でもあったなぁ。
第二部で異聞帯で地球漂白でヒーヒーしている今現在、未来や希望を楽観することは難しかったけど、天草や館長が見送ってくれたことで少しだけ光が感じられたような……なんか、そんな気分だった。