本日の雑記:劇場版HF第二章

ようやく観てきたぞーっ!
大好きなHF。第一章からして物凄ェ出来だったので、不安はほぼ無かったけれど、まぁやっぱりスゲー代物でした。

とはいえ、早くも感想を書くにしては今更感は否めず、新しいコメントや着眼点を語れるわけもなく……。
それでもせっかくなので、初見で感じたことを書いておこうと思う。

まだ一度しか観ていないので、勘違いや見間違えがあるかも。
あと、思いついた順に感情と勢いのままに書いているので、流れも無茶苦茶。

 





……まず!
第一章に続いて本作も、『本気で桜を書こうとしている』ことがビンビンに、鳥肌が立つほどに伝わってくる作品だった。
前作(セイバー退場まで)の時点では、まだまだ桜の深い部分までは観客目線・士郎目線共にわからないため、「可憐」「清楚」「庇護したい後輩」「でもどこか、怪しさや危うさがある」といった表面的な部分からは、内容も演出もそこまで大きくは踏み出せていなかった。

その状態でも十分に桜は魅力的で、ヒロインらしくて、美しかったけれど……既プレイヤーならば、桜ファンならば、誰もが知っているしわかっている“本質”や“暗い部分”について、いよいよストーリーが踏み込んできたことによって、桜の見え方も大きく変化していた。
魅せ方や演出自体も違うし、士郎と桜の関係も進展したこともあって、変わってくるのは当然と言えば当然でもある。
あえてシンプルな言い方をすれば、「桜がすごく女らしく見えた」。
もっと俗っぽく言うならば、「桜がすげーエロかった」。
……ってのが、まぁ最初の感想だった。

エロいシーンがあったならば、そりゃエロくて当たり前だ。
しかし、肝心のシーン以外の桜も、前作よりもメッチャクチャ『女』感が増しまくっていた。
このあたりは第一章を初めて観た時にも何度も何度も思ったのだけれど、もう書き手や作り手の狂気が見えるレベル。
桜のかわいさ美しさ、歪さ汚さ弱さ、女であること間桐であること遠坂の妹で慎二の妹であることetc……ここまで本気、本域でぶつかって、隅々まで描き切ろうとしている様を見せられたら、そりゃ降参するしかない。
最終章を迎えて、全三部作が完結して、桜がどんな風に描き切られていくのかが、本当に、心の底から楽しみだ。スッゲー怖くて、でもメチャクチャ楽しみ。


エロの話をしたので、その流れから“レアルタ版”と“PC版”とが混在されていた件についてもうちょっと。
吸血行為で焦らされてからの、遠坂からの『思い出』が起爆してのガチシーン。あれ……すごく、よかった。……という、頭カラッポな感想。
「これ以上汚せない」って最初に我慢したのもスッゲー桜らしかったし、だけど遠坂の存在で揺らいでしまうあたりもメチャクチャ桜らしかった。
後者についてはおそらく桜自身も嫌悪している、『無自覚な女の嫌らしさ、意地汚さ』めいていて、もうドロッドロでエグくてスッゴイ人間臭くて物凄い。
場面だけ切り取れば“色仕掛け”にしか見えなくて、実質そんなもんで、だけど本当はそんなことをしたかったわけではなかったはずなのに……みたいなやつ(?)。

桜のそういう部分が賛否両論で、おそらく桜自身にとっても否寄りで、それがSN発売直後のHF人気や評価にも繋がっていたんだろうなぁ。
あの頃は大変だったよな……。老害ぶりたいわけではないけれど、近年の境遇だけを見て「桜って贔屓されすぎじゃね?」とか言われると、「おっ、やるか?(ドスを構える)」とか思いがち。危険思想ダメ、絶対!


そんな感じでスッゲーよかった桜周りなんですが、個人的にひとつ気になったのはラストシーン。
『黒桜、爆誕!!!』みたいな感じが、ちょっと違うように思えた。
前作での黒セイバーのシーンでもモヤモヤを感じたのだけど、“映画の引き”のためか、必要以上に演出過剰っぽく見えてしまった。
「いなくなっちゃえばいいのに」からの一連の場面は、今までガッチガチに硬く閉ざされて揺るがなかった桜の大切な何かがポッキリ折れてしまう、あっけなくて物凄く寒々しいシーン……というのが、私のイメージだった。
だからこそ、もっとあっさり風味の演出で、バチンとブラックアウトするくらいのほうが個人的には好みだったように思う。
面白い演出ではあったけれど、ちょっと劇的過ぎて、(魔法少女の変身シーンみたいだな)と思えてしまった第一印象。黒桜の造形は最高に大好きな人間の感想。足元は見えなかった初期のほうがより不気味でエロくて好きだった、というただの性癖吐露。


あともうひとつ引っ掛かったのが、ギルガメッシュの最期。
これもわりと前から思っていたんだけど、zeroやUBWに続き、ufoの描くギルガメッシュは綺麗過ぎるように思えてしまう。
造形がどうこうではなく、存在や演出の美化が過ぎるイメージ。
ギルガメッシュはもちろん、間違いなく格好良い男だけど、同時に絶妙な“ダサさ”があって、むしろそのダサさがあるからこそ無茶苦茶魅力的なキャラクターなんだと、個人的には思うんだけど……。ま、これはワイ個人の好みなのかもしれない。
もちろん『桜に食われた』という結果だけで言えば変化はないけど、もっとダサく描いてほしかったように我は思った。
どこか滑稽ですらあるからこそ恐ろしくておぞましくて、「ヤバい。冗談抜きでマズい」感が増す気がするんだよな。あの本気で寒気がするし恐怖するし、同時に笑ってしまうような感覚を味わいたかっただけに、ちょっとベクトルが違ったように感じられてしまった。



……って、一応マイナスにも触れてはみたけれど、全体で言えば本当に良かった。
良い部分が多すぎて語り切れないので、こんな感じの感想になった。
それでも一応、雑に触れていくならば……バーサーカーの格好良さと強さと“重さ”にはゾクゾクしたし、アクション面では個人的にはVSオルタよりアーチャー周りにすごく魅力を感じたし、アーチャーといえば遠坂やイリヤとのさり気ない描写も最期も素晴らしかったし、慎二の捻じれ方は第一章よりは描かれ方が控えめでありつつも中の人の怪演は相変わらず見事だったし、遠坂凛の登場シーンはスーパーヒーローだし桜に対するツンデレは俺の大好物だし……他にもいっぱい。略。

それでもなんだかんだで結局は、士郎の全てがすごく良かった。そして桜が、何度思い返しても、最高だった。
士郎と桜の物語として、本当に素晴らしい作品だった。

最終章、本っ当に楽しみにしています。
そして気が早いけれど、こんな本気の劇場版をHFのために作ってもらって、心の底から各所にお礼を言いたいです。ありがとう。そしておめでとう。本当に。本気で。冗談ではなく、マジで。
士郎に、桜に、須藤監督に、ufoに、制作に携わった方々に、そして奈須きのこに、心からありがとうとおめでとう。