FGO第二部 Lostbelt No.3 プレイ日記18(完) 人民



第三章感想、最終回!

始皇帝との別れ、中国異聞帯との別れは、事前に想像していたものよりもずっと明るく、穏やかだった。
とはいえ、単純に優しいというだけでもない。

こちらを思いやるような言葉と共にかけられたのは、重すぎる期待だ。とんでもない重みと責任を負わされた、ともいえる。
突き放されているようでもあり、同時に激励されているようでもあり……なんとも表現し辛い気分だった。



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※本記事ではサーヴァントの真名を表記しています





開花した空想樹






虞美人の強い嘆き。
憎悪は人類全てへの呪いへと転じていく。

ここに至って、戦いは中国異聞帯と汎人類史の生き残りを競うものではなくなった。
とても個人的な理由での戦いになる……けれど、それが間違っているというわけでもない。


ついに初めて、“開花しきった空想樹”と相対することになった。
膨大なガンマ線? 銀河を内包している? 何が何やら、わけがわからない。
「開花した空想樹のせいで世界がヤバい」ってことだけはわかる。むしろ宇宙ヤバい?

ともかく、これが最終決戦!
決して負けるわけにはいかない、負ける理由もない戦いだ!









空想樹戦はロシアでも北欧でも経験してきたけれど、「開花」形態はこれが初だ。
な……なんか……よくわからんけど、スゲーな! ギャラクシーを感じる!

『空想樹認定』の文字表記には、『魔神柱顕現』みたいなお約束演出めいたものを感じる。
第二部はそういう感じで行くのかな。フムフム、と謎目線。

色合いといい形状といい、禍々しい魔神柱よりは神々しくて美しい。
だからこその底知れなさや、「宇宙のことを考えると寝れなくなる」的恐怖も覚えるけれど、ともかく画面はどこかファンタジックだった。







よくわからんけれど強化解除があったほうが良いかと思い、編成採用されたメディアさんがプスプスと刺し続けることで伐採完了した。
虞美人とやら……若奥様枠なら、コッチにもいるんだぜッ!





別れ






妄念と成り果て、怨霊と化した虞美人。
こうなってもなお、彼女は完全に消滅することはできないのだろうか?
それとも、正しい意味で「消える」ことまでできるのだろうか?

しかし、この末路は決して項羽が望んだものではなかったはずだ。
それを虞美人自身も、ここに至ってようやく気付くことができた。
始皇帝の言葉と提案を聞いた彼女がこの後どうなるのかは、今はまだわからない。









戦いは終わり、英霊は還り、異聞帯も終わっていく。
ロシアや北欧と同じく、少しだけ与えられた猶予ともいえる時間。
今までと同じく、主人公たちカルデアの面々が、異聞帯の人々と最後の言葉を交わすことはない。交わしてはいけない、と自らを律しているようでもある。

そんな彼らの心の負担を思いやったように、始皇帝がかけた言葉。
慰めとも少し異なる『事実』は、中国異聞帯の特殊な在り方で成り立ったものだ。それが幸せなのかは、結局汎人類史目線では思うことはできないかもしれない。
しかし始皇帝は、最後まで自信に満ち溢れていた。特殊であっても、暴君のようでも、他から見れば歪と見なされたとしても、「愛すべき民たちと世界、楽土を育てた」という強い自負があった。









良い別れだった。
ロシアとも北欧とも、やはりまるで違う。
たった一人しかいなかった絶対的な『人』と、こんな風に熱く爽やかに別れることができたというのは、本当に幸運だったとも思う。
もっと汎人類史やカルデアを強く詰ったり、隙を突いたり無理やりねじ伏せたりすることは、いくらでも出来ただろう。タイミングも機会も実力もあった。

真正面からぶつかり合い、命を賭けて戦って、そして決着に素直に従う。
“戦い”として、とても真っ直ぐで真っ当で、眩しい様だった。
想像していたよりも、ずっとずっと、熱くて優しい結末だった。







中国異聞帯の民は、結局何も知らぬまま、ある日突然消えるのだろう。
そんな彼らに、おそらくは戦いが終わってから「もう外に出ても心配はない」と言った人物……。
“白い服”の“先生”、“カルデアとかいう連中と似てた”……など、彼らは気になる事を言っていた。

やはりこれは、ロシアや北欧に現れた、例の『カルデアの者』だったのだろうか?
もしくはナポレオンの『情報提供者』か、それとも……。
うーん、このあたりは中国異聞帯ではあまり新しい情報は得られなかった。
虚数潜航での温かい何かについても、詳しくは触れられないままだったし。







少年と始皇帝の会話を最後に、この異聞帯における物語は終わる。
『唯一の人』として全ての責を負っていた始皇帝が、最後に「其方たちと、同じだ」という眩しさ……。

終わるからこその美しさだが、やはりとても惜しくも感じる。
不可能だとわかってはいるけれど、歩み方を少し変えた始皇帝が、人民と共に新しい世界を作っていく物語も、見てみたかった。

異聞帯それぞれの物語は、いつだってそんなことを想わせる。
異聞帯に生きる人々の続き、王の努力が実って進んでいく様を、どうしても夢想してしまうんだよなぁ。





感想まとめ




……というわけで、FGO第二部第三章プレイ日記、これにて完結だ。

第三章は、始皇帝を中心にしたストーリーとしては起承転結がわかりやすかった。
一方で、主人公目線だと、特に序盤は同じような場所で同じようなことや会話の繰り返し染みてしまったのが、少しもどかしくもあったかもしれない。

「解毒」というわかりやすい目的がありつつも、シャドウボーダー内での“推理”パートがやけに多かった印象だった。
もっとも、プレイ日記を書くうえで気になっただけなので、遊んでいる最中はそこまで気にしていなかったようにも思う。
けれど盛り上がりとしては、やはり中盤以降に集中していたかな。







最も良かった部分は、今までも散々語っていたけれど、やはりスパルタクス&荊軻二人の描写。
今までは描かれていなかった部分に踏み込みつつも、今まで絆を築いてきたからこその展開と、そこから発展していく物語の美しさには素直に唸った。素晴らしかった。
瞬間的な熱量ではスパルタクスに一気に持っていかれたけれど、考えれば考えるほど味わい深いのが荊軻さん周りのストーリーだった。
いや本当に、すごく良いものを見させていただいた。

彼らに比べるとモーさん&哪吒はやや地味な役回りだったが、良い物語には良い抑え役も付き物だろう。
彼らの活躍は、今後にたくさん期待したい。
むしろ、そういう意味では、気になったのは陳宮&赤兎馬かもしれない。
“祈りが生まれた”というメチャクチャ胸アツシーンを踏まえて登場したのに、掘り下げがやや少なくて残念だったように思う。

戦力が増えたこと自体はもちろんありがたかったし、楽しくて面白い魅力的な奴らだということは十分にわかった。
しかし、できればもっとわかりやすく「陳宮が、赤兎馬が呼ばれたのは運命だった」「彼らのおかげで乗り越えられた」的な熱いシーンや見せ場も欲しかったなぁ……というのが個人的な感想。







物足りない、という点では、虞美人周りも個人的にはもう少し欲しかった。
蘭陵王や項羽との関係はもちろんだが、『真祖!!!!』という超絶注目不可避なトンデモ爆弾を投下してくれたわりには、あまり詳しく語られなかったように感じられた。

その影響もあってか、最後の始皇帝の説得も、私にはちょっと過剰に思えた。
シナリオとして必要だった部分というよりは、マーケティングじみた匂いが感じられて、モヤモヤしたというか……いやでも、これは私個人の微妙な感覚かもしれない。過敏なだけかもしれない。


話題としては筋が外れてしまうけれど、私の好みとしては、たとえばジャンヌが「また会えるような気がします」と言ったり三蔵ちゃんが「カルデアに行きたいの」と話すのはすんなり受け入れることができる。
ただ、過去のイベントや選択肢でもあったのだけれど、新キャラに対してカルデアに来ることが前提のような台詞や勧誘っぽいシーンは、確定入手の配布鯖系以外は、個人的にはモヤ~っとしてしまう……。
たぶんこれは、私個人の本当に微妙な塩梅の好みの差異でしか無いのだと思う。
が、今回の虞美人のラストに関しては、個人的な好き好きで言うと少し残念寄りだった。

『サーヴァント化』の流れを作るとしても、もう少し短くサラッとしてほしかったような感じだ。
そして、虞美人召喚後の台詞や幕間・マイルームなどで、“なぜサーヴァント化したのか”の理由を掘り下げてくれたほうが上品だったように思えた。


……と、クリア当初は思っていたけれど、結果的には一週間未満での虞美人実装だったので、なんかもう大体全部しゃーないのかもしれんな……とも思えてきた。
暇も余裕も、余韻の隙も無いならしゃーないわな!
でもそれはそれとして、虞美人の人となりや背景の掘り下げはもっと欲しいというのが本音。







もうひとつ改めて、すごく良かった点。
始皇帝と始皇帝周囲の臣下たちは、どれもとても魅力的だった。
「格好良い」姿で〆た始皇帝や衛士長はもちろん、汎人類史への恐怖と嫌悪を口にしながら命絶えることになった秦良玉も、“もうひとつの正義、世界”を踏み躙る苦しみと不快さをビンビンに示してくれて、とても味わい深かったと思う。

異聞帯を切除することに対する嫌悪感や罪悪感は、第二部における『肝』だ。
できれば目を逸らしたいけれど、それは許されない。しっかり見ておかねばならない、という苦しみと業とが、秦良玉のシーンには丁寧に描写されていた。







一方で始皇帝との最期はベクトルが異なっていて、どこか爽やかさすらある少年漫画のような決戦になるのが、また絶妙だった。
こう……“巧い”、よなぁ。
第三章丸々をかけて、「汎人類史を名乗る傲慢」「平穏な世界を破壊する罪悪感」「平和を愛する心と民を踏み躙る己の邪悪さ」みたいなものをコレデモカーッて勢いで浴びせられっぱなしだったのに、最後に「殴って決める!!!」ってなるのが……清濁のバランスが絶妙。ドロドロになった末に、美しい青空が見える結末といった気分だった。







幸福かもしれない世界、“より良い”かもしれない世界を破壊する日がいつか来るのでは……と、ずっと思っていた。
その時、主人公やマシュが耐えられるのかと心配だった。

結果的に、今回の中国異聞帯は『完全なる世界』とまでは行かなかったけれど、かなり近いところに至っていた。
そんな中国異聞帯と対決し、始皇帝と対決するのは、とても辛い結末を生むと物語の途中までは予想していた……が、結果はこういう形になった。

思っていたよりも、ずっと爽やかな終わり。
気持ちのいい、優しい結末。
少しだけ甘えさせてもらったような、背中を押してもらったような気分でもある。

この後押しを受けて、主人公やマシュがどうなっていくのかはまだわからない。
けれど、もしいつか“本当に決めなければならない時”が来た時に、何らかの形で影響があるのではないかな、とも思う。
良い経験をさせてもらった。始皇帝にはとても世話になった。